はしご酒(4軒目) その十六
「ソウゴシット ノ ススメ」②
「私も、後ろ向き、というか、生産的でない、というか、あまりいい意味で使われない、その嫉妬という言葉を、結構好意的に受け止めています」、と、自分なりの思いをジャブ程度に語ってみたその直後に、「僕は、それほどいいイメージはもっていないな」、という「まさか」な言葉が返ってきたものだから、さすがに少々驚いてしまう。驚いてはしまったけれど、それはそれとして、「その主旨を掴みかねる」という私のファーストインプレッションに狂いはなかった、ということだけは自信をもって言える、などと悦に入る私に、またまた妙に笑けてしまう。
「憧れや羨望では、キレイごとすぎる。相手を認める、という点では、さほど違いはないわけだから、ならば、むしろ僕は、ちょっとダークな嫉みや妬みに、キレイごとにはない凄みやエナジーを感じる。さらにそれが、相互嫉妬となると、クソッ対クソッって感じに倍倍以上に凄まじくパワーアップしていくような、そんな気がしてくるから、いいんだよな~」、と熱く語るAくんに、ダンダダダ~ン、と本来のAくんが見えてきて、ヨシヨシヨ~シ、と嬉しくなって、一層笑けてくるものだから、これはこれで、充分に気持ちいい。(つづく)