ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.261

はしご酒(4軒目) その十二

「ゲンダイアートダマシイ モンダイ」③

 私の「なぜ、そう思うのですか」という問いかけに、ん~・・・、と短く默考したあと、Aくん、たいていは、ナニか得体のしれない「力」に、組み込まれたり、利用されたりしているうちに、知らぬ間に、付度し、媚びることを覚え、ジワリジワリと魂を抜かれていく、そんなイメージだろうか、と、いつもより低めのトーンで返してくる。

 現代アートのことなど、ほぼサッパリな私でさえ、ナニが正しくて正しくないのかがわからない、わかりにくい、そんな今日この頃だからこそ、問題提起することから、考えることを投げかけることから、ニジリニジリと逃げてしまう、では、ナニが、ドコが、現代アートか、という思いを、なんとなくながら抱いてはいる。

 「国家に、行政に、主催者に、そして、(バッシング三昧の今日この頃だけに)ひょっとしたら世間にまで、アーティストが、本意ではない付度をしなければならなくなったその時点で、申し訳ないけれど、かなりの量の魂が抜けてしまった、と、考えざるを得ない、かな~」、と、トーンを少し上げながら語り終えたAくんの、その語り終えたあとの、フ~っという少し長めのため息のズッと向こう側から、あの中森明菜の名曲が聴こえてきた、ような気がした。

 ♪かざりじゃないのよアートは~ハッハ~

(つづく)