ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.634

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七十五

「べラボ~ブラボ~コラボ~」②  

 以前に、四国の山間部の、限りなく村っぽい、ある小さな町に行ったときのことだ、と、ユルリと、語り始めたAくん。

 たまたま、このところよく見かける、いわゆる「まちおこし」的なアートフェスティバルに遭遇した、という。

 ま、おそらく、あまり内容が伴わない、それなりのレベル程度の企画だろうとタカをくくっていると、ナニやらどうも様子が違う。

 まず、いかにも農作業帰り風の後期高齢者たちの存在感が際立っている。妙に活気があるのだ。しかも、アーティストと思われる人たちとの関係性が濃い。あちこちでトークを楽しんでいたりする。さらにソコに、渋谷赤坂六本木風のクリエイティブ系の、スーツなんて着ませんよ的な、ビジネスヤングマン&ウーマンたちもチラリホラリといたりするものだから、余計にその「様子が違う」感は増してきたりするわけだ。などと、懐かしむように、そして、楽しげに語り続けるAくん。

 先ほどの、Aくんの冒険アドベンチャー夢物語に、おもわぬ肩透かしを喰らったばかりなので、あまり期待を膨らましてはいけない、とは思うのだけれど、どうしても、懲りない私のワクワク感は、再びジワリと膨らみ始める。(つづく)