ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.249

はしご酒(3軒目) その七十八

「オサガワセシマシタ」②

 そして、どうにかこうにか踏ん切りをつけた私は、「良い子の皆さん、おうちに帰る時間ですよ~、と、町内放送が聞こえてきそうなので、ぞろそろ私も、勇気ある撤退をさせていただきます」、と、マスターに告げる。すると、「ありがとうございました」と深々と頭を下げられてしまう。おもわず、私もつられてそれ以上に深々と、頭を下げる。

 結局、Z’さんの奢(オゴ)りとなり、私は一錢も払っていない。にもかかわらず、頭なんぞを深々と下げられたりしたものだから、身体中がモゾモゾとするのもまた、当然と言えば当然なのかもしれない。

 そんな感じでモゾモゾとしたままの私ではあるのだけれど、相当に気分良く、その店を後にする。

 後にして、シミジミと思うのだ。この国の「らしさ」がギュッと凝縮したような、そんな感じのホントにいい店だったな~、と。

 少し大袈裟ながら、そんなことを思いつつ、少し肌寒い夜道を、歩く。(つづく)