ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.241

はしご酒(3軒目) その七十

「ウィンウィン ハ セイギ?」①

 この世の中、ちょっとまてよ、と踏みとどまって考えてみたとき、首を傾げてみたくなることが、結構あったりする。そしてそれは、厄介なことに、たいていの場合、実に美味しそうな臭いを漂わしている。

 そんなことをブツブツと心の中で呟いていると、「ウィンウィンの関係って、怪しくない?」、と、突然、Zさん。

 ウィンウィンの関係?

 ん~、たしかに、そこかしこのシモジモじゃないトップなエライ人たちが、この頃とくに頻繁に使うフレーズではある。

 この「ウィンウィン」、一方の利益だけを考え、力づくで押し切る、ということではダメだ、という正義の姿勢の表れとして、評価されている。その通り、パッと見は、無問題(モウマンタイ)のようにも思える。だがしかし、どうも引っ掛かる。

 そんなに正義なものの考え方であるならば、この国が妙にプッシュしている例の「道徳」とやらにも入れ込めばいいのに、と思うのだが、さすがに、そうもいかないようだ。なぜいかないのか、おそらく、Zさんや私の中の「引っ掛かり」は、そのあたりにあるのだろう。

 そもそも「ウィンウィン」は、本当に正義なのだろうか。(つづく)