ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.237

はしご酒(3軒目) その六十六

「デモ ト シカ ト トキドキ オンシ」②

 すると。

 「昔は、でもしか先生、なんぞと、よく揶揄されたりもしていたらしいからな~」、と、あたかも私の出鼻を挫(クジ)くかのような絶妙なタイミングで、Z’さん。

 デモシカ?

 あ、あ~、デモシカ、先生。

 たしか。

 学校の先生にでも、の、「デモ」、と、先生にしか、の、「シカ」、との、ネガティブ系の合体版だったかと。当然のごとく、デモンストレーションの「デモ」のことでも、愛くるしい、あの、奈良公園の「シカ」のことでもない。

 そんな、すこぶる消極的で後ろ向きな動機で学校の先生という職業を選択された方々に対する総称として、当時、その「デモシカ先生」は、一気に、巷に浸透したようだ。

 おそらく、あの戦争による先生不足と、イケイケの高度成長期の経済至上主義と、男はかくあるべきだなどという封建的な男性観とかが、グジャッとマゼコゼになって、「デモシカ先生」は、社会の中に、定着していってしまったのだろう。(つづく)