ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.235

はしご酒(3軒目) その六十四

「ヒト ノ ヨワミ ニ ツケコム マモノ」

 この世に魔物は数あれど、その中でも最上級に罪深い魔物は、「命」に格差をつけて、その命を、軽んじる、踏みにじる、奪い取る、という、極悪魔物であろう。

 そして、その二番手に控えるのが、弱りきった人の臭いを嗅ぎ付けて、すり寄り、ナニからナニまでむしり取ろうとする、人の弱みにつけ込む性根の腐った魔物。いかんせん、コイツもまた、かなりの強者(ツワモノ)なのである。

 Aくんもまた、そんな魔物たちが勢いづく今日この頃だからこそ、「教育」が大切なのだ、その役割が大きいのだ、と、よく力説していた。そして、同時に、その「教育」が、どうも違う方向に舵を切り始めた、とも、よく嘆いていた、ことを思い出す。

 たとえば、先ほどから、チョコチョコと話題にも上がっている「テストと点数と先生と評価」問題。ことさら、より良い点数をとらせることにばかり注目し、その部分だけを切り取って、ナンの躊躇もテラいもなく、学校の先生たちの評価にダイレクトに反映させよう、などとする愚行の、その稚拙さに、Aくんが呆れるのも無理はない。

 この世には、テストの点数ぐらいならなんとでもできる、ムカつくほど頭のいい、命を軽んじる、人の弱みにつけ込む、という、とてつもなくタチの悪いオールラウンダーな魔物もいるんだ、ということを、私たち(もちろん、とくに、シモジモじゃないエライ人たち)は、忘れてはいけない。(つづく)