ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.200

はしご酒(3軒目) その二十九

「ショウヒンダマシイ ノ ヒアイ」②

 過剰在庫として倉庫に眠る売れ残り商品たちは、環境改善に向けて、当然の如く、真っ当な要求をし始めるだろうし、激安スーパーで、想像を絶するような叩き売り価格で店頭に並ばされ、プライドもなにもかもズタボロ状態、という商品たちもまた出てくるかもしれない。また、消費期限まで、まだまだ時間がある、まだまだやれる、まだまだ自分にはその力が残っている、にもかかわらず、見切り廃棄、などという前倒しの死の宣告を受け、絶望感に打ちのめされた商品たちも・・・。

 しかしながら、だからといって、そうした商品たちの置かれた状況を、より良く解決していくことが、容易にできるとも到底思えないし、考えれば考えるほど、まさに、商品魂の悲哀にドップリと染まっていく。

 幸い、実際には、商品に魂が宿る、などということは、そうそう起こることではないので、まずは心配ご無用かとは思う。思うけれど、仮に、その商品が、単なる無機的なモノではなく、有機的な「人(ヒト)」そのモノであったとしたら、はたして、どうだろう。

 妄想と思考の扉の向こうから、ひょっとしたら、そんなこんななこともまた、ないとは言えないかもしれない、というザワザワっとした空気が、モワモワモワ~っと流れ込んでくる。そして、私の心の中もまた、なんとなく、ザワザワモワモワモワ~っと、落ち着かなく、なる。(つづく)