はしご酒(3軒目) その三十
「テン カラノ サズカリモノ」①
私の、ほとんど独り言のような「魂が宿る商品が人だから、尚更のことシッカリと考えなければ」理論を、静かに聞いていた(と思う)Zさんが、「美しい雫は、天からの授かりもの、大切にしないと、スッと目の前から消えてしまう」とポソリ。
開発と公共工事という魔物が、どれほどの天からの授かりものを、この世から消しさっていったか、と、Aくんが吐き捨てるように嘆いていたことを、思い出す。
一献傾けながら聞くAくんの嘆き節も恨み節も愚痴も文句も、私にとっては、とても耳障りの良いものであったのだけれど、もちろん、そうでない人も、数多くいるのだろうな、とは思う。
いろいろな考えが共存できる、共存している、そういう社会は、むしろ健全で、決して間違ってはいない、とも思う。
しかし、だからこそ、譲れない大切なモノが、コトが、ココロが、あるような、そんな気が、してならないのである。(つづく)