ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.178

はしご酒(3軒目) その七

「ビンガタ!」

 「その帯、面白いですね」、と私。

 「あ~これね、琉球紅型(ビンガタ)。色使いが、お、き、な、わ、でしょ」、と、嬉しそうに話すZさん。「琉球の染めも織りも好きなんだけど、さすがに芭蕉布は、ホントに高くて、手も足も出ないのよね~」、と、少々残念感を漂わしながら、そう、補足する。

 あらためて、その「お、き、な、わ」の帯をジックリと見せてもらう。色使いもさることながら、その沖縄の自然そのものをベースにしたようなデザインがユニークで、実に興味深い。

 なんとなく、かなり昔、たしか1990年代の後半頃に京都の美術館で見た、19世紀のイギリスのあるデザイナーのことを思い出す。

 彼の名はウィリアム・モリス。なにかの弾みで、彼が沖縄に生まれていたら、それはそれで、沖縄のあれやこれやを隅から隅まで個性豊かに表現できる、そんな紅型作家になっていたかもしれないな、などと、勝手な妄想を巡らしながら、グラスの縁を口元まで運ぶ。(つづく)