はしご酒(3軒目) その三
「スキ!」
好きです。
ホントに好きなんです。
ちょっとした勘違いをされてしまいそうだけれど、「好き!」なモノがある、ということは、素晴らしいことだ、と、つくづく思う。もちろん、(法律が必ずしも正しいとは考えていないが、とりあえずは)合法的なものである必要がある、と補足しておきたい。そのような補足をしなければならないほど、あまりに自分本意な事件がそこかしこで頻発する昨今である、ということだ。
私が嫉妬してきた数多くの人たち、その人たちもまた、口を揃えて、好きなモノを熱く語る。熱く語るその表情に、「好き!」が溢れているのである。そして、私は、ますます嫉妬する。
さらに、その「好き!」と、やりたいこと、やっていること、とが、ピタッとリンクしていれば、申し分ない。ましてや、それが生業(ナリワイ)となっているならば、その「申し分ない」は、極上級ということになる。
いま、隣で、妖艶なピンク色のグラデーションのカクテルを味わいながら、「いいわ~これ」などと宣いつつ、満面の笑みを浮かべているZさんにとっての「好き!」は、やはり、「着物」なのだろう。
そして、おそらく、このあと、ジワジワと熱き着物談義に花が咲き始めるのに、それほどの時間を有しないに違いない、と、私は、妙な期待を、秘かに抱いたりしていたのである。(つづく)