ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.132

はしご酒(2軒目) その三十四

「ゼッタイ ニ キイテイナイ」②

 「なんで、聞かへんで済むんやろ」、とOくん。

 たしかにその通りだ。聞かない、に、ばかり、目がいきがちだけれど、聞かなくて済む、に、こそ、この国のワンダーランド、ワチャワチャワチャワチャ感が潜んでいるような、そんな気が、一気にしてきた。

 ホントに、ナゼ、聞かなくて済むのだろう。

 ナゾがナゾ呼ぶナゾナゾワールド、この国の奥の深さは特筆ものである。もちろん、誉め言葉ではないけれど。

 「差別と贔屓(ヒイキ)ってヤツなんかな~」、と、怖い顔から失望の顔へと、微妙に変化する(ように私には見えた)、Oくん。

 差別と、贔屓、か~。

 なるほど、なるほどな。

 強者が弱者を、勝者が敗者を、多数派が少数派を、軽んじる、差別する。そして、強者が強者を、勝者が勝者を、多数派が多数派を贔屓する。と、いう、とびきり厄介な魔物たちが、この国の根幹の、露骨には目立たない暗部に、ベチャッとへばりついているがゆえに、あの人たちは、だから、だからこそ、堂々と、ブレることなく選択肢の中から「聞かない」を選ぶことができる、の、かも、しれない。

 つまり、その選択は、それなりに評価されこそすれ、絶対に致命傷になどなるはずがない、と、いう、底知れぬ自信に裏打ちされているのだ。で、ないと、「貴重なご意見ありがとうございます」や「真摯に受け止めさせていただきます」などといった、いかにも相手を小バカにしたようなセリフ、そうそう言えるものではない。

 普通、日常生活の中で、澄ました顔をして、そんなコトばかり宣っていたら、大抵は、しばかれるか、どつかれるか。あるいは、一切、相手にされないか。しか、ないだろう。

 もちろん、あってはいけないコトだが、仮に、シモジモである一般ピーポーの切なる声に、耳を傾けられない、耳を傾ける必要すら感じない、どころか、むしろ傾けないことが評価される、傾けないからこそ贔屓してもらえる、みたいな、そんなコトが平然と罷(マカ)り通る世の中が、むしろ、スタンダードな世の中だとするならば、この国の未来は、もう、・・・。(つづく)