ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1097

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と二十八

「ドウトデモ カイシャクデキル ホウアン」

 圧倒的なマイノリティが、少数者が、弱者が、理不尽な差別を受けることなどなく、ごく普通に、胸を張って、自分らしく生きていける世の中であるはずなのに、悲しいかな、そんなコトさえも阻まれてしまう、この国は、いったい、ナニを目指し、ドコに向かおうとしているのだろう。

 「そもそも、マイノリティのコトなんて考えたくもなかったのでしょうけど、いわゆる人権先進国から、『ドウにかしなさい』みたいなコトを言われてしまったものだから、大慌てで、表向きだけでもドウにかしたように繕(ツクロ)わないと、とでも思ったのでしょうか。またまた、ナンとも中途半端な法案が可決されてしまったようですね」、と私。

 「あ~、アレね。中途半端、どころか、アレって、絶望的に罪深い」、とAくん。

 「絶望的に、罪深い、ですか」

 「ナゼなら、万人が、理解も納得もできちゃ~いないから引き起こされている少数者への差別であるわけだろ。にもかかわらず、『全ての国民が安心して生活できるよう留意する』などという、一聴しただけではナンの問題もないように思える、どころか、国民全体のコトを考えているのにドコに問題があるんだ、などと、逆ギレだってし易くなる、文言(モンゴン)を、加えてしまったんだぜ」

 「主体が、一気に、少数者から全ての国民に入れ替わってしまった、というコトですか」

 「そうだ。全体が少数者に対して、『全体のコトを、まず考えろよ』と戒める、ための、法案にね。よくもま~、こんな姑息な文言を考え付くものだよな。ホント、マジで感心するよ」

 以前から、私も、私なりに、思っているコトがある。

 あの人たちが法律をつくる際に最も留意するコト、ソレは、必ず、その法案が、「どうとでも解釈できる法案」である、というコト。

 「あの人たちにとって、いかにも都合が悪そうな法案のほとんどが、どうとでも解釈できる法案、ですよね」

 「ん?」

 「どうとでも解釈できる。解釈次第で、なんとでもなる」

 「あ~、たしかに、たしかに。都合がいいように解釈できるコトが、あの人たちの最大の関心事なんだろう。『全ての国民が安心して生活できるよう留意する』なんて、そういう意味では、ちょっとした傑作だよな」

 ふ~。

 そのダークな傑作によって、一気に骨抜きの腑抜け法案に成り下がってしまった、ということ、か~。

 「あんなモノで、『よし、コレで人権先進国からも評価されるだろう』などと、思っているとしたら、まさに、笑止千万。あの人たちの脳ミソは、あの人たちが大好きな、明治維新の、あの、頃から、ナニも変わっちゃ~いないのかもしれないな」

(つづく)