はしご酒(2軒目) その二十四
「キョダイカシタ キョゾウ」
この世には、数多(アマタ)の、トンでもなく怪しいモンスターたちがいる。
そして、その、トンでもなく怪しいモンスターたちの上位に鎮座するのが、「巨大化した虚像」である、と、私は思っている。
そう、巨像、ならぬ、巨大化した虚像。
そう簡単にはブレたりなどしない正義の魂が宿りし実像であったからこその巨大化、巨像。で、あったはずなのに、いつのまにか、その、キモである正義の魂は、見事なまでに劣化し、萎(シボ)み、消え去ってしまった抜け殻、以外の、ナニモノでもなくなってしまったかのようだ。
その手の、それ系の、肝心要の中身はスコッと抜け落ちてはいるものの、図体(ズウタイ)だけはイヤほど巨大化したトンでもない虚像を、人は、「木偶(デク)の坊」と呼ぶ。
そう、木偶の坊。ホント、情けない。
そもそも、そもそもが、錯覚であったのかも。
実像だと思っていたモノは、実は、最初から虚像であった、の、かも、しれない。それとも、分不相応な巨大化が、ジワジワっと、その実像の、正義の魂を抜き去っていってしまったのか。
ドチラにしても、錯覚であったのだな、きっと。そんな気が、ドンドンとしてくる。
そんな、私の、ほぼ独り言を聞いてくれていた、Oくん、
「ホンマやな~、世界中が、正義の魂の抜け殻みたいな巨大化した虚像たちに乗っ取られてまう前に、とくに影響力がありはるシモジモじゃないエライ人たちには、いま一度、己自身を、ジックリと振り返り、見つめ直してもろてもエエかもしれへんな。もちろん、期待薄やろうけど」
このままだと、Oくんが宣う通り、実は、とうの昔に、もう、正義の魂などスッカリ消え失せた抜け殻であるにもかかわらず、ソレなりに体裁を装った外ズラだけは見事に巨大化した、そんな、権力大好き「虚像モンスター」たちに、この国も、この星も、乗っ取られてしまいそうだ。(つづく)