はしご酒(2軒目) その十二
「テンヨウ アクヨウ システム」
守らなければならない大切なモノのために、セキュリティをかける、法をつくる、コレは、とりあえずは正しい。
たとえば、ネット上などにおける、人権を、尊厳を、踏みにじるような非人道的な悪業に対して、法による規制をかける、罰則を設ける。コレもまた、なんの問題もないように思える。
しかし、このように、パッと見は、とりあえず正しくて、なんの問題もないように思える、その良かれと思って施したセキュリティやら法やらが、ヤヤもすると、弱者に牙を剥く、民主主義そのものを圧迫する、モノに、豹変してしまったりするのが、残念ながら、この世の常なのである。
「そりゃそうやわな~。権力者たちに、その規制ってヤツがウマイこと使われて、言論の自由が脅かされることになってしまうんとちゃうやろか、と、心配になってまう人も、当然、いてはるやろから」、とOくん。
つまり、極めて問題なことは、そのセキュリティの、法の、転用であり、悪用なのである。
そう、転用、と、悪用。コイツたちが、実に厄介なのだ。
セキュリティも、法も、その使命を真っ当に果たすための正義の使われ方がなされてこそ、で、あるにもかかわらず、どうも、この世の中は、そうは問屋が卸さないようなのである。
ナゼなのだろう。
正しきヒト、モノ、コト、を、守るためにつくられたセキュリティやら法やらであるはずなのに、そうしたこととは裏腹に、正しきヒト、モノ、コト、を、規制するために、圧迫するために、管理するために、と、いうことのために、転用されたり、悪用されたりしてしまうとは。いや、ひょっとすると、ハナから転用と悪用ありきであったのかもしれないな。いや、きっとそうだ、そうに違いない。という、限りなく確信に近い疑念が、フアンフアンと浮き上がってきたりするものだから、ソレに、反比例するかのように私はズブリズブリと沈んでいくのだ。
そんな沈みつつある私に、Oくんからハナムケの、ダメ押しの、コトバ。
「知らんうちに、もう、とっくの前に、この国には、オキテ破りの転用悪用システムっちゅう、新手の、権力者たちにとって都合のええ、使い勝手のええ、ダークなシステムが、ドドンとでけてしもてんのかもしれへんで~。知らんけど」
オキテ破りの転用悪用システム、か~。
ん~・・・。考えれば考えるほど、とてつもなく悍(オゾ)ましいシステムだな。
(つづく)