ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1047

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と七十八

「オフレコ! オフレコ?」

 「おエライさん方、アレコレイロイロと巷を賑わしてくれているけど、僕が今、ちょっと気になっているのが」

 ん?

 「オフレコ」

 んん?

 「このオフレコ、って、いったい、ナンだと思う?」

 オ、オフレコ?

 あ、あ~、オフレコ。

 「いわゆる、ココだけの話、ってヤツ、ですよね」

 「そう、その通り、その、ココだけの話、ってヤツ。おそらく、ぶら下がり取材かナンかの際に生まれたメディア系の用語なんだろうな。ココは録音しないでね。もちろんです、ココはココだけの話、録音なんてしませんぜ。みたいな、そんな感じの、オフ、ザ、レコード、オフレコ」

 やった~。珍しくドンピシャだったみたいで、なんだか妙に嬉しくなる。

 「じゃ、なくて」

 へ?

 「僕が問うているのは、そのオフレコが、そもそもナンのためにあるんだよ、ってこと」

 そもそもナンのためにあるんだよ?

 ん~、Aくんがナニを言わんとしているのか、サッパリわからない。

 「たとえば、自分の上司のモノの考え方、価値観、方針、に、少なくとも僕は、人として大きな問題があると思っているし、納得もしていない。というような場合、だからといって、立場上、そんな思いを公表なんてできるはずもなく。しかし、それでもやっぱり、僕の、この思いだけは伝えておきたい、知ってもらいたい、みたいな、そんな時に、コッソリと、ココだけの話、オフレコで。というのが、本来のオフレコの存在理由だろ、違うかい。しかし、しかしだ。にもかかわらず、どうもソコのところを勘違いしている方々が、結構、おられるように思えてならないわけよ」

 本来のオフレコの存在理由、か~。

 「ソコのところを、勘違い、ですか」

 「そう、勘違い。たとえば、悪意をもって、意図的に隠蔽されているトンでもない悪行を、オフレコということで、ちょっと油断してしまい、おもわずポロリと漏らしてしまった、というような場合、ソレは、当然、オフレコとはならない。というか、そんなモノをオフレコにしてしまえば、場合によっては、その記者たちも『グル』扱いされてしまうかもしれない」

 グル、か~。

 Aくんが言うように、そんなトンでもないコトを聞いてしまったにもかかわらず、オフレコであったという理由で公表しなかったとしたら、記者も「同罪」、と、なっても、可笑しくはないかな。

 「公表できない正しきコト、のみが、オフレコの対象になる場合もある、のであって、捨て置けないレベルのトンでもないコトがオフレコに、なんてことは、まず、あり得ない、ということだ」

 なるほど。

 「なのに、なのにだ。オフレコであるのに公表したりしてルール破りだ~、などと自信満々に喚(ワメ)き散らす方々が、数多くおられるというから、ホント、トカクこの世は、厄介が厄介を呼ぶ厄介厄介ワールドだよな~」

 たしかに。

(つづく)