はしご酒(2軒目) その六
「ヒト ノ ミリョク ガ ミリョク」②
ドライブが好きだ。ドライブ先での一期一会の出会いや発見の数々が、実に楽しい。だがしかし、私の車人生に、それほどの歴史はない。
私は、(恥ずかしながら)プチ自転車ボーイであったのである。
フランスから(未完成の)自転車を直で個人輸入し、近くの自転車屋さんで組み立ててもらった。ワクワクしつつ受け取りに行ったとき、パールホワイトのフレームが、妙に眩しかったことを、今でも鮮烈に覚えている。そんな時代であった。
Aくんは、ほとんど自転車に興味を示さなかったけれど、Oくんは、私と同じく、(恥ずかしながら)プチ自転車ボーイであったらしい。さすが、Mr. 一期一会パラダイス、サイクリングでの新羅万象との出会いが、ホントに楽しかったようだ。
少し前、とある田舎(の、歴史上、伝説的な、ある女性のお墓の前)で、自慢の愛(自転)車でサイクリング(あまりにも本格的なので、「サイクリング」とは言わないのかもしれないけれど)を楽しむ外国人観光客の方と出会った。「日本が好きです」、と達者な日本語で(ちょっと嬉しくなるようなことを)話されていたが、愛(自転)車とともに、わざわざ遥か彼方のこの極東の国にやってきた彼が言うところの「日本が好きです」のその日本は、一体、どんな日本のことなのだろう、と少し気になった。
なぜだろう、安全だからかな~、などと、そのときは漠然と思う程度であったのだけれど、それから2時間弱ほど後に、ある小さな地元野菜などを売られている店に、たまたま立ち寄った、そのときに、その理由が、なんとなくわかったような気がした。
なんと、2時間弱ほど前に別れたあの外国人観光客と、(縁があるのだろうか)偶然にも再会したのである。両手に立派な大根をもちながら、その店のおばちゃんとの和気あいあいとしたクロスオーバーな会話を楽しんでいる、その彼の表情の中に、全ての答えが、あるように思えたのである。
やはり、人なのだな、人の魅力が、魅力なのだな、という思いが、あらためて心の底からジンワリジンワリと、な、私なのであった。(つづく)