ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.41

強肴 その九

「イチゴイチエ ハ パラダイス!」 (Aくんのラテンな友だち)

 オ~トケルトキニ~オ~トカント~アカンッチュ~コトヤガナ~ (会えるときに会っておかないといけないということです)。

 イマタベトカナ~イツタベルッチュ~ネンナ~ (今、食べることをせずして、いつ食べるおつもりですか)。

 コノ~イマッチュ~トキハ~イマシカアラヘンネンデ~ (この、今というときは、今しかないのです)。

 セヤカラ~イマヤラナアカンッチュ~コトデンガナ~ (だから、今しなければいけないということです)。

 大阪出身で、未だに大阪弁に拘(コダワ)り続けるAくんのラテン(?)な友だちは、「この一瞬」に命を懸けるタイプの強者(ツワモノ)である。おそらく、Aくんと同じく学校の先生なのだろう。たった一度しかお会いしていないけれど、そこかしこに「いい先生なんだろうな~」感を漂わせていた。

 そんな彼の口癖、名言、ソレが、「一期一会はパラダイス!」。

 そう、一期一会はパラダイス!、なのだ。

 つまり、(もちろん、この居酒屋で出会う素敵なアテの数々も含めて)どんな出会いも出会いという出会いは全て、とにかく楽しむ、楽しまないと損だ、という意味なのだそうだ。

 相性がいいとか悪いとか、得意とか苦手とか、好きとか嫌いとか、というような、そんなコトで「出会い」というモノをランク付け、クラス分け、もしくは事業仕分けするのではなく、その全てを丸ごと、またとない一期一会の楽しみとする。という、その、ドコまでもウルトラなポジティブマインドには、恐れ入る。

 でも、ひょっとしたら、実は、彼も、その本心は、自分にそう言い聞かせているだけなのかもしれない。つまり、学校の先生として、その立場上、意地でも、ナンでもカンでも出会いという出会いは全て、「一期一会はパラダイス!」なのだと。

 しかし、仮に、言い聞かせているだけなのだとしても、それでも彼は、やっぱり素晴らしい。素晴らしいのである。

 学校の先生という、なかなかハードな一本の「道」を、ひたすら前を向いて明るくパワフルに突き進む、そのラテン(?)な姿勢に、心から拍手もエールも送りたい。(つづく)