強肴 その九
「イチゴイチエ ハ パラダイス!」(Aくんのラテンな友だち)
オ~トケルトキニ~オ~トカント~アカンッチュ~コトヤガナ~(会えるときに会っておかないといけないということです)。
イマタベトカナ~イツタベルッチュ~ネンナ~(今食べることをせずして、いつ食べるおつもりですか)。
コノ~イマッチュ~トキハ~イマシカアラヘンネンデ~(この今というときは、今しかないのです)。
セヤカラ~イマヤラナアカンッチュ~コトデンガナ~(だから、今しなければいけないということです)。
大阪出身で、未だに大阪弁に拘り続けるAくんのラテン(?)な友だちは、「この一瞬」に命を懸けるタイプの強者(ツワモノ)である。おそらく学校の先生だと思う。たった一度しかお会いしていないけれど、そこかしこに「いい先生なんだろうな~」感を漂わせてはいた。
そんな彼の口癖は、「一期一会はパラダイス!」。
ナンでもカンでも(もちろん、この居酒屋で出された極上の肴の数々も)、その出会いを、とにかく楽しまないと損だ、という意味なのだそうだ。出会いをランク付け、クラス分け、もしくは事業仕分けするのではなく、その全てを、またとない一期一会の楽しみとする、その、ウルトラポジティブマインドには恐れ入る。
でも、ひょっとしたら、本心は、彼も自分にそう言い聞かせているだけなのかもしれない。学校の先生として、その立場上、意地でも、ナンでもカンでも出会いという出会いは全て、「一期一会はパラダイス!」なのだと。
でも、仮に、言い聞かせているだけだとしても、それでも彼は素晴らしい。
学校の先生という、なかなかハードな一本の「道」を、ひたすら前を向いて明るくパワフルに突き進む、そのラテン(?)な姿勢に、心から拍手を送りたい。(つづく)