ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1112

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と四十三

「ソジョウガ トドイテイナイノデ」

 世の中には、体(テイ)のいい、「マニュアル返し」というマスコミ対応術が、いくつかあったりする。

 そう、マニュアル返し。

 この、マニュアル返し。読んで字のごとく、マニュアル化された必殺の決まり文句で適当に返答して逃げ切る。と、いう、トンでもなく悪知恵まみれの対応術なのである。そして、この対応術、コメントを求めるその記者のみならず、関係者たちをも、そして、全国民をも、見事なまでに小バカにしまくる。

 そんな、そんなマニュアル返しの中で、以前から、とくに気になって、気になって仕方がないのが、この、「訴状が届いていないのでコメントは控えさせて頂きます」である。コレと、一部の国会議員たちの間で人気のある、あの、「係争中なのでコメントは控えたいと思います」とは、他の追随を許さない「マニュアル返し」の双璧をなしている、と、言えるかもしれない。ま、トンでもなく姑息なオキテ破りの双璧なわけだけれど。

 ただ、私が、もっと気になって仕方がないのは、じゃ、記者たちは、その後、日を改めて、同じ質問をしているのか、というコト。

 たとえば、「もう、訴状は届いていますよね。では、コメント、宜しくお願いします」とか、「係争も終了したようですので、今一度、ナニがあったのか、ナニをなさったのか、そして、どうして訴えれたのか、を、詳しく、お答え願えますか」とか、と、いった具合に、しつこく、しつこく喰らい付いてくれて、いるのだろうか。

 こんなコト、思いたくはないけれど、ひょっとしたら、質問される側も、する側も、ドチラも、形式的な「マニュアルやりとり」で、茶番を演じているに過ぎないのではないか、と、どうしても、どうしても思ってしまう(Aくんほどではないもののソレなりに疑い深い)私なのである。(つづく)