はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と六十八
「カネハ ダシテモ クチ ダスナ フタタビ!」
「国際卓越研究大学!」
えっ?
ヤタラと仰々しい漢字がズラリと並んだ八字熟語。
ナニ?
「いかにも国家プロジェクトって感じのネーミングだろ」
あっ、あ~、あれだ。思い出した。
「たしか、国による、鳴り物入りの『研究力アップ大作戦』でしたよね」
「そう、その大作戦。なんだけれど、結局、それって、カネ(金)をちらつかせた、大学への、研究機関への、政治介入、権力介入、だろ」
カネをちらつかせた、政治介入、権力介入、か~。
「オマケに、御用学者が、TV画面の向こう側で澄ました顔をして、更なる『選択と集中』の必要性を、不気味に強調したりしているわけ。成果を出せる大学に、人に、集中的に予算を投入するのだそうだ。しかしながら、そもそも、その、成果を出せる、って、ナンなんだよ。ダレの基準だよ。ダレが、そんなコト、わかるっていうんだ。国は、神の『目』でももっているのかよ」
Aくんは、この手の「介入」に、以前から、強い不快感も危機感も抱いている。それだけに、いつも以上に攻撃的なモノ言いである。
「どうせ、近視眼的な成果を要求してくるんだろうよ。カネを出してやってるんだからソレに見合った成果を出すのは当然だろ、みたいな。もう、最悪だよ。こういうのが一番、最悪なんだ」
たしかに、最悪だ。
「場合によっては、軍事力アップに貢献できる成果を、なんてことにもなりかねませんよね」
「なりかねないよな~、・・・。教育も、研究も、大切なのは余裕と自由。余裕をもって自由に、思う存分、教育。研究。ソレが、保証も担保もされないようでは、もう、その国の教育も研究も、まず、ダメだね。そのための『カネは出してもクチ出すな』なのにな。ソレができねえんだよな~、権力者ってのは。ホント、情けないよ」
(つづく)