はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と二十七
「リッケンシュギ」①
一般ピーポーたちを上から目線でしか見れない、上手い具合に利用できるコマとしか見れない、場合によっては「票」としか見れない、そんな、トンでもない権力者を、トンでもない権力者の暴走を、ナニがナンでも縛らなくてはならない、という使命を担っているモノの一つが「立憲主義」だと僕は思っている、とAくん。カッチカチのハード系のプロローグを吐きながら、ようやく奥から舞い戻ってくる。
ん~。
舞い戻ってきたシリから立憲主義、とはな~。
そんなハード系の臭いをプンプンと漂わせているAくんではあるけれど、両手で大事そうに持っているお盆の上には、ナニやらコミカルでキュートなラベルの小瓶とグラスが二つずつ。と、小さなチョコっぽいクッキーが。
「なんとなく、気分はクラフトビール。って気がしたんだよね」
クラフトビール、か~。
おっ、お猿さん。
グラスに注がれるお猿さんビールの、その色、その香り。
恐々(コワゴワ)、グビリと呑んでみる。
おっ、ブワッと桃感。
でも、ビール。かなり上質のクラフト発泡酒。それもヴァイツェン。実に爽やか。
「コレ、桃ですよね」
「そうそう、桃。しかも、結構なブランド桃を使っているみたいなんだよね」
なんと贅沢な、ヴァイツェン。
「キッカケは、廃棄される運命であった傷んだブランド桃のSDGs(エスディージーズ)。みたいな話は、聞いたような気がするんだけれど、詳しいことは知らない」
現場は、ドコだって、イツだって、頑張っているんだな~、などと思いつつ、もう一(ヒト)グビリやる。
「ヴァイツェンらしいと言えばヴァイツェンらしい、一杯、かもしれませんね。爽やかで美味しいです」
「それは良かった」と笑みを浮かべながらAくん、も、満足気にグビリと。
おそらく、このあと展開される目一杯ハード系な「立憲主義」噺(バナシ)を前にしての、ちょっとした「お口直し」的な意味合いの、この一杯なのだろう。
チョコクッキーに忍ばせてあるオレンジピールも、更にその爽やかさを際立たせている。いいマリアージュだ。
「でだ」
おっ、いよいよメインのモノローグの幕開けか。さすがに少し、身構える。(つづく)