ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.971

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と弐

「アナタノ ココロノコエヲ キキナサイ」

 ある映画の、その登場人物である、とある学校の先生が、ある一人の迷える教え子に贈った言葉である。

 「あなたの心の声を聞きなさい」

 いい言葉だ。

 周囲の声に振り回されて、ナニがナニやらワケがわからなくなるぐらいなら、あるいは、周囲の声に惑わされて、本意ではない道を選んでしまって一生後悔するぐらいなら、今は、あなた自身の声に、声だけに、耳を傾けなさいという思いを込めた、その先生の言葉である。

 つまり、その声が、邪念など微塵もない、ドコまでもピュアな心の声であるなら、いかにその道が険しい道であろうとも、きっと、開けていくに違いない。という、熱きエールだ。

 とはいうものの、しかしながら、そんな心の声、いくら耳を澄ましても、そばだててみても、そう簡単には聞こえてこない。それほど、溢れる周囲の声に、いつだって、心の中は邪念まみれだということなのだろうか。

 おそらく、先ほどから何度か話題に上っている「聞く力」も、そうした溢れまくる周囲の声に掻き乱されているうちに、聞くべき大切なモノを失ってしまった。ということなのかもしれない。

 聞くべき大切なモノを失った「聞く力」。

 そんな哀れなる聞く力が進むべくして進む道は、誰もが納得できるような正しき本道ではなく、心ある人ならまず敬遠するであろう怪しげで愚かなる「邪(ジャ)」の道なのだろうな、きっと。(つづく)