はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と八
「メディア~ン!」
民主主義とは多様性。そう言い切っても一向に差し支えない、とAくん。だからこそ、偏ってはいけないんだ、と、語気を強める。
多様性?、偏ってはいけない?
「それゆえ、いつだって問われるのだと思う」
ん?、問われる?
「メディアの、その姿勢が、あり方が」
メディアの?、そのあり方?
「それなりにメリットがあるのであろう、そんな、なんとなく無難なある一部に擦り寄って、ソコソコの視聴率を稼げればソレで充分だろ、みたいなことだけは、絶対に避けなければならない」
メリットがあるであろう、そんな一部に擦り寄る?
「それほど、ありとあらゆる全ての人々に対して責任がある、ということだ」
全ての人々に責任がある、か~。
「少なくとも、ナニかに、ダレかに、忖度(ソンタク)して、媚(コ)びて、怯(オビ)えて、歪曲、捏造、省略、消去、などという、姑息な悪魔のやり口に手を染めてはいけない」
なるほど、おっしゃる通りだ。
「多様性が共生できる世の中であるためにも、メディアは常に正しくなければならない、正しく伝えなければならない、ということですか」
「そういうことだ。メディアは、真実の学びの場、で、あらねばならない」
真実の学びの場、か~。
「で、なければ、メディアなんて、アッと言うまにズルズルと、単なる下世話な情報ツールに成り下がり、その本来の存在意義さえも消えてなくなってしまうに違いない」
そう吐き捨てたあと、Aくん、たしかアルフィー(THE ALFEE)であったか、その往年のヒット曲を、彼らに負けないぐらいのキーの高さで、またまた熱く、熱く熱く歌い上げる。
メディア~ン
メディア~ン
メディア~ン
ウォンチュ~ステイッミ~
メディア~ン
メディア~ン
メディア~ン
ウォンチュ~ステイッミ~
お~、メディア~ン
と~つぜん
ど~こへっ
きえったの~か~
(つづく)