ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.788

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と十九

「ヤッパリ イイワケ イイワケガナイ」①

 「黙って母さんの言うことを聞きなさい」、と、よく言われたもんだ。おそらく、おふくろさんの叱責なんぞに、ろくすっぽ耳を傾けようとせず、ひたすら稚拙な言い訳に邁進しようとする僕に、「もういい加減にしなさい!」という思いを込めてのその一言であったのだと思う。と、ナニやらボソボソと、お母さんとの思い出を語り始めた、Aくん。

 そう叱責されて当然、と、言っていいぐらい、僕の口から飛び出た全てが、自己防衛本能丸出しの、その場しのぎの「言い訳」、「言い逃れ」に他ならなくて、幼少の頃の話とはいえ、お恥ずかしい限りだ、と、反省しきり。

 でも、幼少の頃のことまで後悔やら反省やらをしていたら、身がもたなくなってしまうのではないですか、と、私が言いかけた、まさにその時、Aくんが、その出鼻を挫(クジ)く。 

 「そして、どうにもこうにも情けなくなるのは、その頃の悪しきクセが、大人になっても抜けない、ってことなんだな」

 言い訳グセが、大人になっても抜けない、か~。

 考えてみると、私だって同じようなもので、Aくんに限ったこととは、到底、思えない。

 「言い訳が言い逃れを呼ぶ、言い訳言い逃れワールドから、どうにもこうにも抜け出せない、ということだ」

 「その、言い訳言い逃れワールド。自慢ではありませんが、私も、そのワールドの住人のような気がします」

 「ほ~、同じ穴のナンチャラってヤツだな」

 「はい、間違いなく、その、ナンチャラです」

(つづく)