ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.915

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と四十六

「コレカラ ベンキョウサセテ イタダキマス」

 以前は、いたんだよな~、ゴロゴロと。こんなコメントを平然と吐くツワモノたちが、とAくん。

 ん?

 「その『こんな』、が」

 んん?

 「これから勉強させて頂きます」

 んんん?

 「この人、ダレ?、みたいな新大臣が、就任できたことで箔(ハク)が付いたとでも思ったのか、よほど嬉しいのだろう、ニコニコ顔で宣うわけよ、これから勉強させて頂きます、と」

 んんんん?

 「で、そのオデコに、ペタリと貼られているんだな、『私、お飾りですから』と書かれた紙切れが」

 ペタリと貼られて、か~。ん~、もう、最悪だな。

 そういえば、少し前、ある市役所に貼られていたという職員募集のポスターが、ちょっと話題になっていたことを思い出す。ハッキリとは覚えていないが、たしか、「税金泥棒は、いりません」みたいな、そんなキャッチコピーだったと記憶する。

 「まさに税金泥棒ですよね、ソレって」

 「税金泥棒?。ほ~、上手いこと言うね~。たしかにその通りだ。その道のプロフェッショナルだと信じて、期待して、年間2000万円以上の税金を投入しているのに、その第一声が『これから勉強させて頂きます』じゃ~な~。金返せよ、って話だよな」

 「普通、そんなプロフェッショナル、いないですよね」

 「いないいない。たとえば、たいした修行もせず、見た目だけは立派な店を開店した寿司職人が、客から、そのあまりのマズさを指摘された時に、『これから勉強させて頂きます』、は、ないよな~。そもそも、そんな甘い世界じゃない」

 おそらく、信じて、期待して、しかも、楽しみにしての入店だけに、ソレはない、と、私も思う。ただし、この「これから勉強させて頂きます」が、唯一許される時があるとも思っている。その、唯一の時とは、世間から絶賛された時、で、ある。

 あくまでも「謙遜」、あくまでも「向上心」。けっして「言い訳」、「言い逃れ」、の、言葉ではないのである。

 「話を振り出しに戻すけど、その『ツワモノ』が、だ。もう絶滅危惧種だと思っていたのに、ナゼか、ココにきて、ジワリジワリと気持ち悪く増えつつあるような気がしてならないわけよ。ナンかさ~、腹立たしいというよりは、情けない、っていうのかな~、ズズンと悲しくなってくるんだよね」

(つづく)