はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と十三
「クダッテクルヤツ ヨリ ノボッテクルヤツ」
「天下り!」
ん?
「いまだに、臆面もなく、いけしゃあしゃあとやっていたりする」
んん?
「しかし、言い訳がましく宣ったりしてくれるわけよ、天下りではない、とね」
んんん?
「その、高い能力ゆえに、そこかしこから期待され、求められ、その結果として天下りのように見えているに過ぎない、ということらしい」
んんんん?
「本気で言っているのかよ、って話だよな」
「で、でも、その天下り、もう、法的に、ダメになったのではないのですか」
するとAくん、ノンノンノンノンノンと人差し指を目の前で小さく左右に振りながら、「先ほど、君も言っていたように、当人たちがつくった法律は、ご多分に洩れずザルみたいなもので、ちゃんと抜け道が用意されている」、と。
抜け道、か~。
そして、さらに、「定義の問題、とか、解釈の違い、とか、このケースは当てはまりません、とか、と、言い逃れ三昧。強者がつくりたもうた強者を規制する法なんてものは、たいていそういうものだろ、違うかい」、と、ジワジワとその語気も強める。
「そもそも、天下りというネーミング自体、イヤな感じがします」
「なんといっても『天(アマ)』だからな~。美味しそうな手土産と共に『天(テン)』から舞い降りてくる」
「その美味しそうな手土産、かなりプンプンと臭ってきますよね」
「臭う臭う、合法的な腐敗の臭いがね。コレもまた、君が言うところの体(テイ)のいい合法的賄賂、というヤツなのかもしれないな」
ん~・・・。
私は、私は思うのである。
天から下(クダ)ってくるヤツより上(ノボ)ってくるヤツ、と。
もちろん、その、上ってき方にもよるのだろうけれど、そんな天みたいなトコロから、手土産片手に下ってくるヤツにはないエナジーが、血と汗と涙の現場から上ってくるヤツにはある、はず。この真っ当な上昇ベクトルエナジーこそが、疲弊する現代社会に一石も二石も投じ、未来を切り拓いていくに違いない。(つづく)