ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.536

はしご酒(4軒目) その百と百と七十七

「カチウマニノルンジャーズ」

 勝ち馬に乗る。

 その馬が、好ましいとか好ましくないとか、とか、正しいとか正しくないとか、は、この際、少しの間、脇に置いておくことにして、とにかく、勝ちとか負けとか、という、そのあたりに非常に拘(コダワ)る、功利主義的なダークヒーローが、この「カチウマニノルンジャーズ」なのである、とAくん。

 この国の、たとえば、「判官贔屓(ハンガンビイキ)」といったもののような、そんな古(イニシエ)からの美徳からすれば、いかがなものか、ということに、普通なら、なるはずなのだけれど、そんな古やら世間やらの声など御構い無しに、ググッと存在感を発揮し始めている、という。 

 「それもまた、目先のお金、目先の権力、ですか」、と、少し呆れ気味に、私。

 「お金やら権力やらに限ったことではないのだろうけれど、とにかく、絶対に損はしたくない、というヤツなんだろうな」

 「忖度(ソン、タク)はしても、損(ソン)は、し、たく(タク)、ない、ですか」

 「上手い!」

 上手い!、と、誉められても、手放しに喜ぶこともできないまま、そんな目先の損得ばかりに目を奪われていて、この国の、この星の、その未来は、本当に大丈夫なのだろうか、と、底なしの不安ばかりが、無尽蔵に膨らんでいく。(つづく)