ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.513

はしご酒(4軒目) その百と百と五十四

「シャカイ ノ ムジュン パラダイス」①

 世の中が、トンでもないことに見舞われたとき、どうしても、様々なコトとコトとの整合性が曖昧になり、そこかしこで矛盾が芽生えがちだ、とAくん。

 言い換えると、そんな矛盾や整合性などクソ喰らえ、と、胸を張って居直れるからこその、この、トンでもないことに見舞われた世の中なのだ、ということになるらしい。

 ほぼ同じことを言っているにもかかわらず、印象は随分と違う。

 Aくんは、このような、屈折した世の中の状況を、「社会の矛盾パラダイス」と呼ぶ。

 社会の矛盾が、整合性の無さが、それなりの社会的地位を手に入れた世の中に対する、目一杯の嫌味(イヤミ)を込めての命名であるようだ。

 そんな、この致し方なしの「社会の矛盾パラダイス」、想像以上に罪深い、と、Aくんは憂う。

 コトの善悪や正当性が曖昧になり、そりゃそうだね、仕方ないよね、と、「矛盾や整合性などクソ喰らえ」派が、見事なまでに力をもち始める。そして、其々が、タテ割り的に、致し方なしの施策を講じる。この致し方なしの施策、少なくとも、ある一方だけぐらいなら、満足させることはできる。だから、その周辺との整合性などなくても、とりあえずは、受け入れられる。でもね、ソコにあるわけよ、落とし穴が。不気味に、パックリと口を開けた落とし穴の、その穴の深さが、その罪の深さなのだ、と、オドロオドロしく語り続けるAくんに、思い切って問うてみる。(つづく)