はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と六十三
「メディスン ト ポイズン ハ ヒョウリイッタイ」
「メディスン(medicine)とポイズン(poison)は表裏一体、と、思わないかい」
「それは思います」
「おっ、珍しくリアクションが早いな」
「健康なときに薬を飲めば、たいていは体調を崩してしまうでしょ」
「お~、それ、わかりやすい。薬は、ある意味、毒。毒はドコまでも毒なんだけれど、この際、そんな毒であったとしても、よんどころなく、毒を以て毒を制す、みたいなトコ、あるからな~」
毒を以て毒を制す、か~。
「ソレって、あの、社会における『必要悪』というモノとも似ていますよね」
「必要悪?。あ、あ~、必要悪ね。似てる、似てる、似ているかもしれない。つまり、つまりだ、どこからどう見ても悪魔の処方箋なんだけれど、こんな『社会』でもソレなりに、ナニがナンでも回さないとダメなんだという時は、そんな処方箋でも天使の処方箋となり得る、ということだな」
悪魔の処方箋も天使の処方箋となり得る、か~。
「とはいえ、所詮、天使の処方箋は悪魔の処方箋。それなりに即効性があったりするものだから、致し方なく、ついつい服薬し続けてはきたけれど、やっぱり、案の定、ある日、突然、ドッカ~ン!、と、致命的に体調が崩壊する、みたいなコトになってしまったりするわけだ」
致命的に、崩壊、か~。
二人して調子に乗って、「メディスンとポイズンは表裏一体」理論からの「所詮、悪魔の処方箋」理論へとズゥリズゥリと盛り上がっていってはみたものの、だんだんと、この国も、この星も、天使ヅラした悪魔の処方箋に手を出してしまったことで、もう、既に、ニッチもサッチも取り返しがつかないトコロまで、みたいな、そんな感じなのではとズゥンズゥンと思えてきて、二人して、一気に盛り下がる。(つづく)