ガッコ ノ センセノオ ト モダチ vol.466

はしご酒(4軒目) その百と百と七

「イノチ イノイチバン」④

 またまた、プチなタイムスリップをしてしまい、ボンヤリと、アレコレ思い出してみたりしていると、少し長めのインターバルを終えたAくん、「命と死」論、の、そのつづきを、ユルリと語り始める。

 「人の命を弄(モテアソ)ぶ魔物が、誰にも気付かれることなく忍び寄り、魂のその隙間に、スルリスルリと入り込むことができるには、そうできるだけの、捨て置けない、それなりの、理由がある」

 「捨て置けない、理由、ですか」

 「そう。おそらく、その人の、その魂を、グルリと取り巻く、過去も未来も含めた環境の全てが、厄介な魔物にとって、最高に居心地がいい、ということなのだろうな」

 なるほど、そして、心の中に、魂の中に、コッソリと、安心して、癌細胞の卵を生み落とす、というわけか。そう考えるだけで、なんだか恐ろしくなってくる。

 「そうした環境が引き寄せた魔物たちに、人の命が、生が、弄ばれることを、どうにかして阻止する、たとえば、即効性のある治療薬みたいなもの、は、・・・あるわけないですよね」

 するとAくん、う~ん、と、唸ったまま、少しの間、黙りこくったそのあとで、まさに、コレしかない、と、己に言い聞かせるように、「命と死」論を完結させる。

 「命、いの一番、を、高らかに歌い上げる、沖縄の魂の言葉、命ど宝(ぬちどたから)、に、その全てが凝縮されているような気がする。即効性のある治療薬にはならないだろうけれど、ジワジワと時間をかけて、漢方薬のように効いてくる予感が、僕にはある。そして、その親戚筋にあたる、もう一つの沖縄の魂の言葉、なんくるないさ、との、魂の合わせ技で、ひょっとしたら、その厄介な魔物たちも、ほんの少しかもしれないけれど、たじろいでくれるかもしれない」

(つづく)

 

 

 

 

 

 

追記

 志半ばで、あの世に旅立った、数多くの才能に、可能性に、夢に、愛に、そして、その魂に、・・・合掌。