ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.468

はしご酒(4軒目) その百と百と九

「イッサイセツメイシマセンセイ フタタビ」②

 ひとしきり、熱く、語りに語ったあとAくんは、フ~ッと、長く息を吐きながら、ひとまず呼吸を整える。

 そういえば、以前からAくんは、学校の先生が説明をしなくなった、と、嘆いている。そのことを、ふと、今、思い出す。

 「イッサイセツメイシマセンセイ、ですよね」

 「あ~、そんなこと、言ってたかな~」

 「言ってました。そして、イッサイセツメイシマセンセイは、評価の二文字に心底弱い、と、断罪していましたよ」

 「断罪か~、それは穏やかじゃないな」

 語りに語ったAくんは、毒気を全て、身体の外に出し切ったのか、そのせいか、いつのまにか随分と穏やかな表情に戻っている。

 せっかく、ようやく穏やかなAくんに、なわけだから、そのままやり過ごせばいいものを、どうしても、そうは問屋が卸さない、私なのである。

 「たとえば、軽んじられるプラスチックごみ。とくに、この国の、この星の、未来に関わる環境問題に、責任があるポジションに身を置く政治関係者は、どうあるべきだと、どうするべきだと、思いますか」

 するとAくん、せっかくの穏やかな表情を、20%ほどキリリと引き締めて、もう一度、弱火で煮詰め直すように、ユルリと語り始める。

 「先ほども少し触れたけれど、自分の中に、シッカリとした、決してブレない正義の幹が、芯が、あるならば、致し方がないとはいえ、そのベクトルが、不本意な方角を向いているとき、普通は、語るよね、語るでしょ。もういいよ、って言われても、説明しまくる、したおす、し尽くす。そして、本当は、こうでなきゃダメなんだ、って、心の底から訴える、と、思うんだよな~」

 その通りだと思う。そうあるべきだと思う。そうあってほしいと思う。

 そんな、真っ当に燃えるAくんに、・・・乾杯!

(つづく)