はしご酒(4軒目) その百と百と九
「イッサイセツメイシマセンセイ フタタビ」②
ひとしきり、熱く、語りに語ったあとAくんは、フ~ッと、長く息を吐きながら、ひとまず呼吸を整える。
そういえば、以前からAくんは、学校の先生が説明をしなくなった、と、嘆いている。そのことを、ふと、今、思い出す。
「イッサイセツメイシマセンセイ、ですよね」
「あ~、そんなこと、言ってたかな~」
「言ってました。そして、イッサイセツメイシマセンセイは、評価の二文字に心底弱い、と、断罪していましたよ」
「断罪か~、それは穏やかじゃないな」
語りに語ったAくんは、毒気を全て、身体の外に出し切ったのか、そのせいか、いつのまにか随分と穏やかな表情に戻っている。
せっかく、ようやく穏やかなAくんに、なわけだから、そのままやり過ごせばいいものを、どうしても、そうは問屋が卸さない、私なのである。
「たとえば、軽んじられるプラスチックごみ。とくに、この国の、この星の、未来に関わる環境問題に、責任があるポジションに身を置く政治関係者は、どうあるべきだと、どうするべきだと、思いますか」
するとAくん、せっかくの穏やかな表情を、20%ほどキリリと引き締めて、もう一度、弱火で煮詰め直すように、ユルリと語り始める。
「先ほども少し触れたけれど、自分の中に、シッカリとした、決してブレない正義の幹が、芯が、あるならば、致し方がないとはいえ、そのベクトルが、不本意な方角を向いているとき、普通は、語るよね、語るでしょ。もういいよ、って言われても、説明しまくる、したおす、し尽くす。そして、本当は、こうでなきゃダメなんだ、って、心の底から訴える、と、思うんだよな~」
その通りだと思う。そうあるべきだと思う。そうあってほしいと思う。
そんな、真っ当に燃えるAくんに、・・・乾杯!
(つづく)