ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.469

はしご酒(4軒目) その百と百と十

「キキカン ノ キョウユウ ト ノレンニウデオシ」①

 「なんとなく気になる。妙に不安に駆られる。心配になる。危惧する。危機感を抱く、無性に、抱く。にもかかわらず、この感覚が、なかなかわかってもらえない。伝わらない。共有されない。ソコに、ソコにこそ、次の一歩を踏み出せない、次の一手を打てない、最大の原因がある、と、僕は思っている」、とAくん。

 仮に、イッサイセツメイシマセンセイたちが、心を入れ換えて、この国の、この星の、進むべき正義の道を、世界に向けて発信し始めたとして、どれだけ訴えても受け入れられないとしたら、どうだろう。おそらく、それでもAくんは、訴え続けないとダメだ、って、宣うのだろうけれど。

 でも、なぜ、眼前に立ちはだかるその壁は、それほどまでに巨大で堅牢なのだろう。

 「なぜ、共有されないのですか」、と私。

 なぜかね~、と、少し呆れ気味にボソリと呟くと、Aくんは、またまたそのまま口を閉ざしてしまう。

 Aくんの口を閉じさせてしまったという負い目みたいなものを、それなりに感じつつ、私は私なりに、共有することの眼前にそそり立つその壁について、暫し考えてみる。(つづく)