はしご酒(3軒目) その五十四
「キソウ テンガイ コドク」②
すると。
突然、乱入する、Zさん。
テ、テレパシーか!?
それとも。
知らないうちに声に出してしまっていたのか!?
私の心の内を、心の声を、いとも簡単に覗き見されたような、盗み聞きされてしまったような、そんな気がして、心底、驚いてしまう。
「奇想天外も結構ですけど、そのベースのところに愛がないと、わけがわからないことになってしまうんじゃ、ない?」
あ~、いつもの、あの、前頭葉の老化系の突っ込みではなかったんだ。
Zさんの乱入内容にホッとしつつ、慌てて気持ちを切り替える、私。
「愛、ですか」
「そう、愛。愛あってこその奇想天外でしょ」
そう念を押す、Zさん。
おっしゃる通り、Zさんの指摘は見事なまでに的を得ている。魔物に取り憑かれた奇想天外ほど厄介なモノはないからだ。
すると。
「それはそうだな」
Z’さんまで意外なほどアッサリと納得の様子。
ん~、・・・愛あってこその、奇想天外、か~。
おそらく、この「奇想天外」に限らず、どんなコトにおいても、その根底に「愛」がなければ、たいていの場合、ナンともカンともな結末が待っているだけのような気がする。
愛ある奇想天外。
愛ある奇想天外、か~。
たしかに、メチャメチャ、いい響きだ。(つづく)