はしご酒(3軒目) その四十四
「オキナワ ノ アートダマシイ」①
プライベートなコトを私から質問することは、まず、ない。
ナゼ、「まず、ない」、か。
もちろん、その第一に、プライベートなコトなど聞くべきではない、という思いがある。しかしながら、ドチラかというと、そんなモノ、べつに聞きたくもないし、興味もないし、という思いの方が圧倒的だ。さらに言わせてもらうと、一緒に呑んでいて楽しければ、いい人だな~と思えれば、その人のプライベートなコトなどドウでもいいのである。
にもかかわらず、ナゼか、今宵の私は、どうも変だ。
なんと、このお二人さんに、ナニを思ったか、おもわず、「ところで、沖縄には、お二人で?」、などと、聞いてしまっている。
ナゼ、そんなコトを聞く?
やはり、かなり変だ。
「あ~、沖縄ね。別行動も多かったけれど、そう、お二人で。以前から訪れてみたいと思っていた私設美術館、佐喜眞美術館に、やっと」
私設美術館?
佐喜眞美術館?
「久々に『感じる』ことができた、そんな美術館だったな」
Aくんがナニかを感じられたその美術館は、普天間の米軍基地にへばり付くように建てられている。というより、むしろ、米軍基地の方から力づくでへばり付いてきた。と、言った方が正しいらしい私設の美術館だという。
ソレもまた、あの戦争がもたらしたダークでヘビーな現実の一つなのだろう、きっと。
「常設の、迸(ホトバシ)る魂の巨大絵画。にも、ナンとも言えないエナジーに包まれた建物全体。にも、ドップリと浸ることができたよ」
そんな、Z'さんイチオシの私設美術館。に、更に一層、ジワリジワリと、プックリプックリと、興味が膨らんでいく。(つづく)