ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.195

はしご酒(3軒目) その二十四

「ミツ ト ツキ」①

 Zさんの口からこぼれた、文化やら芸術やら風土やらのそこかしこに生まれた素晴らしく輝くものに対しての「美しい雫」、というコトバもまた、それ自身、とても美しいコトバだと思う。このコトバのように、この国の、星の数ほどのコトバのそこかしこで、「美しい雫」が垣間見られたりするものだから、ホントに興味深い。

 たとえば、色を表す、そのコトバたち、もまた、まさに、自然の中からポタリと落ちたような珠玉の輝きを放っている。そこに、先人たちの美意識と感性の豊かさを感じざるを得ない。

 ただ漠然と、なにも考えずに、ザックリと「赤」と言ってしまえばそれまでのことなのだけれど、先人たちのおかげさまで、そのバリエーションは、嬉しくなるほど豊富、掻練(カイネリ)、猩々緋(ショウジョウヒ)、朱華(ハネズ)、深緋(コキアケ)、などなど、と、そのコトバの響きからだけでも、カラフルなイメージが広がり、ワクワク感が止まらない、のである。(つづく)