ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.181

はしご酒(3軒目) その十

「ナツキモノ」②

 そして、Zさん、「つまるところ、絽(ロ)やら紗(シャ)やら上布(ジョウフ)やら、あるものの、大事なのは『透け感!』なの」、と。

 ん~、スケルトン・ビューティー、透けの美か~。なるほど、なるほどな~、などと、躊躇することなど微塵もなく、妙にスルッと納得する、私。

 さらに、「ホントのことを言うと、実際には全然涼しくなんてないんだけれど、どお、涼しげでしょ、という、この、どお、涼しげ、でしょ。これなのよね、これ」、と、Zさん、最初は小さかった声もジワジワと大きくなる。

 なにやら、イロイロなモノが見えてくるような気がするものだから、面白い。

 そう、見えてくるのだ。風鈴やら、打ち水やら、ガラスの金魚鉢の中で気持ち良さそうに泳ぐ金魚やら、に、垣間見られるこの国のピーポーたちの「ヤセガマン?」や「ハッタリ?」や「ミエ?」、の、美学が。

 そう、そんな、この国の、実に独特な、美学。

 ヤセガマンで、ハッタリで、ミエで、涼しめた、あるいは、涼しまなければならなかった、この国の、ピーポーたちの、夏。ずっと以前は、マジでそうだった。さすがに、温暖化やらでかなり厳しくなってきてはいるけれど、でも、今も尚、そのヤセガマンで、ハッタリで、ミエで、は、ギリギリのところで、どうにかこうにか、まだ、健在。それが、日本の美であり文化であるのだな~、きっと。などと、あらためてジンワリと思ったりする。

 いや~、ホントに面白い、面白いのである。

 ますます、Zさんワールドの(またまた誤解されてしまいそうだけれど)虜になりそうだ。

(つづく)