はしご酒(3軒目) その十一
「キモノツナガリ ノ ススメ」
Zさんにとっての着物が、単に着物だけにとどまらず、さらなる様々な日本の文化に繋がり、広がり、その相乗効果に、ますますワクワク感が止まらない、そんなこんなのイメージが、私が思う、私が虜になりそうな、Zさんワールドなのである。
「歌舞伎や能、その美しい着物を見るだけでも、充分に楽しめるのよね~、わかる?、この感じ」、とZさん。
能ならば、幸い結構見る機会があったりしたので、よし、と思い、「わかります!」、と、かなり力強く応える。
「自信満々ね、歌舞伎とか能とかに、興味がおあり?」、とZさん。
恥ずかしながら、「はい、それほど詳しくはありませんけど」、と私。
「日本の文化は、扇のような気がしているのよね~、古典芸能も、ものづくりも、扇のように、その要(カナメ)のところでは繋がっている、だから、その一つ一つが、とても大切、・・・なんだけど」、とZさん。
・・・なんだけど?
そういえば、そこかしこが、職人さんたちの高齢化で、まさに絶滅危惧職である、みたいなことを、悲しいかな、耳にしたことがある。おそらく、一度消えてしまえば、もう二度と復活することなどないかもしれない、いや、ないに違いない、きっと。それほどのレベルの高さであり、習得するのに信じられないほどの膨大な時間を有する、ということだ。
私は、もし、もう一度この世に生まれたらば、もう二度と学校になんて行きたくないな、などと、漠然とながら思っている。漠然と、などという程度では、結局は、到底ナニも始められない、のだろうけれど、物心の付く頃から、私の一生を懸けて、職人の技の究極の境地に挑みたい、という、そんな思いがある。(つづく)