ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.180

はしご酒(3軒目) その九

「ナツキモノ」①

 「さすがに夏に着物なんて、厳しいでしよ」、と私。

 「夏こそ着物!、と、言いたいところだけど、近頃の夏はダイナマイト級、厳しいかな~」、と、Zさんもお手上げの様子。

 なのだけれど、「でも、着物は、この国の風土の中から誕生したものだから、とくに夏着物には、そうした先人たちの知恵と工夫と美意識がグチュッと凝縮してるのよね~」、と、タダではコケないところも見せてくれる。そういうところが、好きなんだな~、と、心の中で思ってしまった自分に、思わず照れてしまう。

 そんな私の心の内を見破られないように、「夏着物って、どんなものなんですか?」、と、できる限りクールに問うてみる。

 すると、Zさんは、瞳を輝かせながら、鼻の穴も少々大きくしながら、おそらく体温も0.5℃は上げながら、夏着物のなんたるかを、熱く、丁寧に、語ってくれたのである。(つづく)