ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.146

はしご酒(2軒目) その四十八

「シマグニコンジョウ ト タヨウセイ パラダイス」②

 「なんや、ちょっと、違和感があるんやな~」、とOくん。

 予期せぬOくんの発言であったものだから、さすがに少々動揺する。

 「違和感?、どのあたりが?」、と、全く見当もつかない私。

 「アンタのことやから、そんな気はサラサラないとは思うねんけど、その、受け入れる、っちゅうのに、どないしても、上から目線の臭いを、感じてまう」、と、なんとなく申し訳なさそうに宣うOくん。

 受け入れる、上から目線の臭い、か~、しばらく黙考する私。

 

 

 

 ダメだと、思う。

 たしかに、ダメだ。

 

 

 

    少しの間考え込んでいた私に、誰に対して言おうとしているのかわからないぐらい、ほとんど独り言のように、小さな声で静かに語り出す、Oくん。

 「そんなん、理屈やないと思うねん。多様性なんか、頭でっかちに、あれこれ考えんと、もっと自然に、もっとフラットに、そやないと、なんも伝わらへんし、なんも生まれへんし、なんも始まらへん」。

 だから、なにも始まらないのだ、きっと。

 ザワザワと毛羽立った風が、私の落ち着かない身体の中を吹き抜けて、いく。(つづく)