はしご酒(2軒目) その四十八
「シマグニコンジョウ ト タヨウセイ パラダイス」②
「なんや、ちょっと、違和感があるんやな~」、とOくん。
予期せぬOくんの発言であったものだから、さすがに少々動揺する。
「違和感?、どのあたりが?」、と、全く見当もつかない私。
「アンタのことやから、そんな気はサラサラないとは思うねんけど、その、受け入れる、っちゅうのに、どないしても、上から目線の臭いを、感じてまう」、と、なんとなく申し訳なさそうに宣うOくん。
受け入れる、上から目線の臭い、か~、しばらく黙考する私。
ダメだと、思う。
たしかに、ダメだ。
少しの間考え込んでいた私に、誰に対して言おうとしているのかわからないぐらい、ほとんど独り言のように、小さな声で静かに語り出す、Oくん。
「そんなん、理屈やないと思うねん。多様性なんか、頭でっかちに、あれこれ考えんと、もっと自然に、もっとフラットに、そやないと、なんも伝わらへんし、なんも生まれへんし、なんも始まらへん」。
だから、なにも始まらないのだ、きっと。
ザワザワと毛羽立った風が、私の落ち着かない身体の中を吹き抜けて、いく。(つづく)