ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1202

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と三十三

「メンゼイ ヒキダシ~」

 「チャチャチャチャッチャチャ~!」

 へ?

 「ドコでも免税引き出し~」

 ド、ドラえもん

 「この引き出しに、お金を入れておけば免税になるんだよ」

 はい?

 「持ち運びに便利なコンパクトサイズなので、事務所でもおウチでも、ドコでも、重宝する~」

 だから、ドコでも、免税引き出し~、な、わけか。

 「あとは、裏金であろうが還付金であろうが、ナンでもカンでも、ソコに放り込んでおけば、免税~」

 課税の対象にならない、か~。

 有り難いと言えば有り難いけれど、間違いなく、地方も、国も、立ち行かなくなるだろうな。

 ん!?

 ま、まさか。

 「まさか、もう、すでに、あの人たちは、その引き出しを」

 「もちろん。そういうコトに関しては、あの人たちのアンテナの精度、バツグンだから~」

 「でしょうね。ドラえもんも、提供する相手はチャンと精査しないと」

 「ごめんなさい、のび太くん」

 「ホントに困っているピーポーたちにならいいけど、余裕まみれのあの人たちに、そんなモノ渡してしまったら、ますます調子に乗って、さらにトンでもないコトをしでかすから、きっと」

 などと、二人して、バカみたいに盛り上がる。

 だけど、冗談抜きで、あの人たちは、本気で「免税引き出し~」だったのだろう。議員会館で、高級料亭で、派閥の会合で、お仲間内で、ほくそ笑みながらコソコソと、声を掛け合っていたに違いない。

 「ドコでも免税引き出し~」

(つづく)