はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と十九
「セカンドレイパー!」
「raper(レイパー)!」
ん?
「強姦魔!」
えっ!?
「和製英語らしいんだけどね。でも、イギリスでも、スラングっぽく使われてはいるらしい」
ん、ん~。
ナニが言いたいのか。話の意図が、サッパリ読めない。
「あえて意図的に、被害者に、とくに性的被害者に対して、性的二次加害をヤラかすピーポーたちの総称、ソレが、second raper(セカンドレイパー)」
ん、あ~。
たしかに、性的二次被害と言うより性的二次加害と言った方が、ズッと、その犯罪性が伝わり易い気はする。
「たいていの場合、犯罪の意識がほとんどないだけに、『ソレ、間違いなく加害だよ。限りなく犯罪だよ』というコトを強調する意味でも、性的二次加害、セカンドレイパー、と、言った方がいいのかもしれませんね」
「その通り。罪の意識などほとんどない。むしろ、正しいコトを言ってナニが悪い、みたいな、そんな空気感が、未だに、まだまだ、この国には頑としてある」
「でも、世界には通用しないでしょうね」
「しないね。全く、しない」
「たとえば、ミソジニー(misogyny )。ナンともカンともなこの男性優位社会の中で、無意識のうちに刷り込まれてきた『女性蔑視』。が、差別を生み、暴力を、性暴力を、生み、そして、セカンドレイパーをも生んできた。という気が、してならないのですが」
「あ~、misogyny(ミソジニー)ね。ま、ごく限られた人たちの中での思考の病のようなモノだとは思うけれど、ネットなどでの見事なまでのセカンドレイパーぶりには、ちょっと大丈夫かよ、って、心配にさえなってきてしまうよな」
大丈夫?。いえいえ、全然、大丈夫じゃ、ない。
「時代遅れの男性優位社会なものだから、私情やら利害やら、偏見やら差別意識やらにまみれにまみれまくった、加害者への応援も擁護も、被害者への誹謗中傷もバッシングも、全て、なんとなくズルズルと許されてきたのかもしれませんが、ソレ、ドコからドウ見ても考えても、限りなく犯罪だということを、そろそろ気付かないと」
「少なくとも、先進国からは、相手にされなくなるだろうな。この国も、この国のメディアもアミューズメントもエンタメも、大企業も」
(つづく)