はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と十一
「チヤホヤ ガ モンスター ヲ ツクリアゲル」
「蝶や花や、の、チヤホヤ。この言葉が、なんか好きでさ」
ちやほや?
蝶や花や?
蝶よ花よと育てられ、と、同じ?
なんにせよ、私は、あまり使わない。し、耳にすることもない、かも。
「支援学校で」
「支援学校?」
「養護学校ね」
「あ、あ~」
「僕が担当の授業。みんなでゲームをしたわけよ」
「いいですね。で、どんなゲームをされたのですか」
「『身体を使って表現する』をテーマに、ジェスチャーゲーム」
「ジェ、ジェスチャー、ゲーム、ですか」
「知らない?」
知らない。
「水の江瀧子の紅(アカ)組と柳家金語楼の白組とがジェスチャーで鎬(シノギ)を削るNHKの人気番組だったんだけどな~」
そもそも、その両キャプテンとも、知らない。
「でだ。正解すると、ご褒美カード」
「ご、ご褒美、カード、ですか」
「そう。『こんなご褒美がいいな』ってヤツを、事前に、皆に、書いてもらって、ソコから一枚。もちろん、ナニが書いてあるかは、選んでからのお楽しみ」
なんか楽しそうだ。
「そのご褒美カードの中の『ご褒美』の一つが『チヤホヤ』だったわけ」
なるほど。
「ココぞとばかりに、皆から、イヤというほどチヤホヤされる。なんとなく気分がいいのだろう、とってもいい表情を見せてくれたりしてね」
なるほどな。
ズンズンと、その「ちやほや」、キュートな言葉に思えてくる。
「でもね」
ん?
「この『チヤホヤ』、時と場合によっては、かなり厄介なモノになる」
ん、ん?
「チヤホヤが、モンスターをつくり上げる。と、いうことだ」
ちやほや、が、モンスターをつくり上げる、か~。
「とくに政界。怪しい怪しい」
たしかに怪しい。
「そうそう、エンタメ業界なんてのもな。大きなお金が動くだけに」
あ、あ~。
おっしゃる通り、あの世界も、よほどの人格者でない限り、調子に乗ってしまいそうだ。
「権力に、カネ(金)に、利害に、損得に、ベットリとまみれにまみれた『チヤホヤ』は、滅法、タチが悪く、トンでもないモンスターをつくり上げる」
ん、ん~。
せっかくキュートに思えてきた「ちやほや」であったのに、急転直下、一気にダークなモノに包まれていく。
い、いかん、いかん。
大慌てで、そのダークなモノを、グビリと、新潟のコシヒカリで洗い流す。
(つづく)
追記
新年早々、あまりにも強烈な自然界のそのパワーに、その無慈悲さに、打ちのめされる。
ナニをおいても、被災者たちへの迅速かつ手厚い、対応。
加えて、原発に関する、ウソ偽りも隠し事もない情報の、共有。
そうした対応と共有の同時進行が大切であり、不可欠。
そして、現地で、その最前線で、尽力されている方々に、感謝。
ん?
新年会?
テレビ出演?
そ、総裁選?
か、か、改憲?