はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と二十二
「シガラミン シー!」
アレもコレも、多岐に渡ってスーパーなビタミンぶりを発揮してくれているビタミンCなのだけれど、その、アレもコレもが悪しき方向にアレやコレやと舵を切ってしまった変異型は、ナニも「ネタミンC」に限ったことではない、とAくん。
「限ったことでは、ない?」
「そう、限ったことではない。とくに、政治関係者の間で悪しき変異型ぶりをイヤというほど見せつけてくれているのが、柵(シガラミ)のシガラミンC」
「シ、シガラミンC、ですか」
「そう。アレもコレもとそこかしこに耳を傾けているうちに、シガラミンCがブチュブチュと分泌されて、アッと言う間にシガラミまみれのガンジがらめ、ということだ」
ブチュブチュと、か~。
ネタミンCにも勝るとも劣らないシガラミンC、聞けば聞くほど恐ろしくなってはくる。恐ろしくなってはくるけれど、聞く耳をもつこと、即ち「悪」、みたいな言われ方をしてしまうと、さすがにどうしても、引っ掛かかる。
「耳を傾けること、即ち、柵(シガラミ)、悪(アク)、というのには、ちょっと、引っ掛かかってしまうのですが」
するとAくん、そんな私の指摘などモノともせず、ズバッとこう切り返す。
「民の声に耳を傾ける。シガラミンCごときに怯むことなくやってもらって結構、むしろ、大いにガンガンとやってもらいたいぐらいだ。なぜなら、そんなことでは、シガラミンCは、微塵も分泌なんてされやしないから」
ん?、んん?、んんん?
「ソコに、怪しいまでにドロドロとした利害が、ベチャベチャと絡んでこそのブチュブチュだということだ」
ん~ん~ん~ん~、なるほど、なるほど、ドロドロ、が、ベチャベチャ、で、ブチュブチュ、か~。
となると、そのシガラミンC、「政治の世界、棲み易し!」、と、心底、思っているかもしれないな。(つづく)