はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と九
「ダイシッコウ!」
「あの、ドコまでも大阪弁のアイツなら、きっと、『代わりにオシッコするんとちゃいまっせ~』などと言い放つところなんだろうけれど、悪いが、オシッコどころじゃない。ソレほど『代執行』は、限りなく暴力に近い愚行だってことだ」、と、オープニングから熱い、Aくん。
あ~、アレだな、あのコトだ。
「県民よりも、国の、というか、ウダウダ御託を並べて言い訳をしているけれど、結局、『No(ノー)!』と断れない、あの某大国の、その利益を、優先しただけのことだろう」
某大国の利益を、優先しただけ、か~。
「しかも、例のあの関西のビッグイベント同様、いや、それ以上の、ウルトラ軟弱地盤という特大のオマケ付きだ」
「にもかかわらず、代執行なのですね」
「ま、おそらく、ソレが完成する頃には、ほとんどの関係者は、もう、この世にはいないだろうから、どうでもいいんだろうよ」
「完成する頃には、ほとんど、あの世、ですか」
「完成なんてしない、ということだ」
「しないのですか」
「まず、しないね。仮に完成したとしても、そんなモノ、必要でなくなっているんじゃないかな」
「ダラダラと、湯水のごとく血税が注ぎ込まれる、だけ。と、いうことですか」
「そう。血税に対する軽視。どころか、県民に対する軽視。ソコに差別の臭いさえする」
軽視、差別の臭い、か~。
たしかに、ほんの少し歴史を振り返っただけで、そのAくんの疑念、単なる疑念でないことがわかる。
ソコに、軽視も差別も、ある。あるとしか思えない。
するとAくん、「ちょっと変わり種の特撮時代劇『大魔神』。好きだったんだよね」、と。
「だ、だ、大魔神、ですか」
いつもの唐突感丸出しの話題転換。慣れてはいるものの、やはり、どうしても面喰らう。
「その大魔神が、ナニか関係でもあるのですか」
思い切って強めに突っ込みを入れてみる。
「ない」
へっ。
「ないけど、少女の涙が眠れる大魔神を、大魔神の魂を動かしたように、軽んじられた県民の心の涙が、いま再び、大魔神を復活させるんじゃないかって、ね」
あ、あ~、そういうことか。
なるほど、なるほどな。
「じゃ、この際、思いっ切り、ぶっかけてもらいましょう」
「ん?、ナニをだい」
「県民の代わりに、私たちの代わりに、大魔神のオシッコ、大(ダイ)シッコを、国会議事堂に、大臣たちに」
(つづく)