ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1177

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と八

「シッパイヲ ユルサナイ シャカイ ハ マチガッテル」

 「失敗を許さない社会は間違ってる。挑戦できない社会じゃダメだ~!」、と、思いっ切り唐突に雄叫びを上げた、Aくん。

 失敗は許されなければならない。

 挑戦できる社会こそが真っ当な社会。

 ドコかで聞いたような気もするが、この雄叫び、それほどトンチンカンだとは思わない。古今東西、様々な場面で、チャレンジ精神は、未来を切り開くパワーであったし、コレからも、きっと、この国の、この星の、煮詰まり気味の閉塞感を打破してくれるはずだ。

 ただし、そのチャレンジの「質」による。

 そう、質。

 ソコに、隠し事も誤魔化しも嘘偽りもない真っ当な正義が、公正が、愛が、あるか。

 ソコに、ドンブリ勘定ではない緻密な計画性が、あるか。

 そして、その計画は、本当に世の中の、未来の、役に立つのか。

 実は、一部の誰かの懐(フトコロ)を肥やすだけではないのか。

 そんなアレやコレやをタラタラと思ったりしていると、Aくん、より一層のボリュームで雄叫び第2弾を上げる。

 「ダークな野望にまみれつつ手をつけたモノが、うまくいかなくなった途端に、その当人が、突然、『失敗を許さない社会は間違ってる。挑戦できない社会じゃダメ~!』などとほざいたところで、そんなものに誰が耳を傾けるんだ」

 声が大きい。

 Aくんのアトリエに場所を変えて、正解。もう、結構な深夜だし。

 「杜撰(ズサン)な計画であったためにニッチもサッチもいかなくなっただけだろ。急遽、慌てて、単に保身から、自己弁護を、言い訳を、し始めたにすぎないんじゃ~ないのか。仮に、ソレが、トンでもない額の血税に絡むのなら尚のこと、そんな言い訳よりも、とりあえずしなければならないのは、謝罪だろ、謝罪。違うかい」

 違わない。 

 謝罪したから許される、と、いうものでもないだろうけれど、でも、まず、心ある、真っ当な謝罪から始めないと、マジでどうしようもないし、どうにもならない。(つづく)