ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1146

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と七十七

「ワタシハ カシ ガ アッタトハ オモワナイ」

 「ある地方自治体の、ある多数派の党の議員団のおエライ先生たちが、またまた、あの、怪しげなカルト団体の思惑に寄り添ったかのような条例を、本会議に提出しようと目論んでいたところ、一般ピーポーたちの猛反発に遭って、結局、撤回に至ったようなんだけれど、その時の、『私は瑕疵(カシ)があったとは思わないが、説明不足であったため誤解を招いてしまい』などと宣っていた、その、おエライさんのコメントが、ドウにもコウにもマトもピントも大外れで、まるで、あたかも、誤解した我々の方が悪いんだ、理解する力がないんだ、とでも言いたげなモノであっただけに、あらためて思うわけよ、まだまだこの国の闇は深いな、ってね」、とAくん、あの、ちぎり絵の天才絵師、山下清の、キモチだけは充分にコチラに伝わってくる個性的で独特な文体のように、句点という句点を全て取っ払って、一気に捲し立てた。

 あ、あ~。アレだな。

 「またまた、多様性など微塵も認めない、あの、理想とすべき『家族』像、『家庭』像、の、押し売り、押し付け、みたいな考え方の、悪しき一例ですよね」

 「長谷川町子さん原作の『サザエさん』は嫌いじゃないが、ソレを家族の、家庭の、単なる一つのカタチに過ぎないモノとして見るのではなくて、どの家族も、家庭も、皆、磯野家であるべきだ、と、他のあり方を認めない唯一のモノとして見るところに、もう、国家による犯罪の臭いさえするよな」

 さらに、句点、一切ないまま語り続けるAくんだけれど、そのキモチは、シッカリと、イヤほどコチラまで伝わってくる。

 「しますよね~。プンプンと臭ってきます」

 「ま、多分、あの議員団のおエライ先生も、支援団体の強い意向を、そう易々と無下(ムゲ)にも反故(ホゴ)にもするわけにはいかないだろうから、口が裂けても『私の考えが浅はかでした、間違っておりました』などとは言えない、か」

 「言えないでしょうね」

 多様性とは、人権。生存権

 自分たちが認めた特定の人権しか人権として捉えることができない偏った考え方が、まだまだチカラをもち続けているコトに、私も、この国の闇の深さを、痛切に、感じる。(つづく)