はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と六十二
「コドモ マンナカ! マンナカ?」
子どもたちの心のその奥を、ナゼ、腰を据えて、真剣に、見ようとはしないのだろう。
そんなコトを、なんとなく思いながら、ある一枚の印刷物に目をやる。
こどもまんなか、家族の日、写真コンクール、か~。
ん?
やっぱり、家族っていいね。家族の日、家族の週間。
や、やっぱり、家族って、いいね?
ん、ん?
あったかファミリー部門。
あ、あったか、ファミリー、部門?
ん、ん、ん~。
コ、コレって、こども、まんなか?、まんなか、か?
心底、こどもまんなか、だと思っているなら、「家族っていいね」などと呑気に宣っている場合ではないことぐらいわかりそうなものなのに、あの人たちは、ナゼか、宣ってしまうわけだ。
ココは、もう、コレしかないはずだ。
「ナニがナンでも子どもは守る!」
そう、守る。ナニがナンでも、守る。守り倒す。
家族が、家庭が、親が、たとえグチャグチャに崩壊したとしても、心配などいらない。君たちが、どんな状況に置かれようと、どんなに追い詰められようと、絶対に助ける。救う。だから、絶望なんてする必要はない。夢を諦めなくていい。
コレだろ、コレしかないだろ。
なのに、ナンだよ、この、「家族っていいね」って。いったい、どういう神経をしているのだ。追い詰められた子どもたちにとって、この「家族っていいね」という言葉が、どれほど残酷か。ナゼ、ナゼ、あの人たちは、そんなコトもわからないのだろう。
おそらくナニかの力が働いて、本来「こども庁」であるべきはずであったし、そうなるはずでもあったにもかかわらず、ラストのラストで「こども家庭庁」になってしまったその時から、ズッと、イヤな予感がしていただけに、まさに、まさかの「家族っていいね」なのである。(つづく)