ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.964

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と九十五

「ナハ タイヲ アラワス」

 「名称よりも中身が大事」

 ある政治関係者が、自信満々にそう宣う。

 「じゃ、決まりかけていた名称を、土壇場で変更する必要などなかったのではないですか」

 あるジャーナリストが、おもわずそう問う。

 どの角度から見てみても、そのジャーナリストのおっしゃる通りである。「名称よりも中身が大事」というのであれば、ソコまで名称に拘(コダワ)らなくてもいいのではないか。ひょっとしたら、拘らなければならない理由があるのではないのか。などと、どうしても勘繰りたくなってくる。

 「こども家庭庁、どう思われますか」

 「ん?。あ、あ~、ラストのラストで、その名称でモメていたヤツね」

 「そうです。たしか、土壇場で、ナゼか『家庭』が、くっ付いてしまったのです」

 「そうだった、そうだった。臭うよな~、怪しい臭いがプンプンと」

 「で、その時に、その関係者の中のトップクラスのエライさんが、こう宣ったんです。『名称よりも中身が大事』」

 「ん~、そりゃそうだけどさ~。でも、土壇場で変更したわけだろ。尋常じゃない『名称への拘り』、僕なんかはビンビンと感じるけどね」

 「ナニがナンでも『子どもファースト』でなきゃならないはずなんです。だから、だからこそ『こども庁』であったのに、突然、天の声かナニかが舞い降りてきて、土壇場で『こども家庭庁』。コレって、一部の人たちに圧倒的に支持されている『古き良き家庭のカタチよ、もう一度』ですよね。しかし、ソレとコレとは根本のトコロで全くもってナニもカも違うんです。にもかかわらず、ソコまで家庭に拘るなら、いっそのこと『こども庁』と『家庭庁』をつくればいいじゃないか、とさえ思ってしまう」

 「なるほど、いいアイデアだな、ソレ。真っ当な思考で考えることができさえすれば、その二つがベツモノだってことぐらい、誰にだってわかるだろ、普通。いいよ、いいと思う、賛成だ」

 「ご賛同、ありがとうございます。昔の人も言ってますよね」

 「なんて?」

 「名は体(タイ)を表す。って」

 「おっ、おぉ~!」

(つづく)