ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1128

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と五十九

「ココロ デ カンガエル」

 あっ、鉄腕アトムだ。

 古い。初版本かな。

 本棚らしき木箱のその左下隅に、隠れるようにしてヒッソリと鎮座していたのである。

 気付かなかったな~。

 おっ、ゲジヒト。

 わっ、エプシロン。好きだったな~。

 ん~、ん~、ん~、ん~、なぜか切ない、プルートウ。みんな、懐かしい。

 そ、そうだ、そうだった。

 あの鉄腕アトムでさえ、電子頭脳は、頭部ではなく胸に収められていたのだ。

 そう、ココ。この胸に。

 つまり、人も、鉄腕アトムも、やっぱり「心」。心で考える、考えられる、で、なければダメなんだ。と、いうことを、手塚治虫(先生)も訴えたかったのだと思う。

 そう、ココ。この胸の奥にある、心が、ハートが、他人(ヒト)の、国の、星の、痛みを、叫びを、感じる。感じられる。そして、思いに思い、悩みに悩み、考えに考え、乗り越えていく。そうでなければ、本当に、もう、絶望的にダメなような気がする。この国も、この星も。

 脳ミソなんかで考えようとするから、知らぬ間に、損得勘定やら弱肉強食思考やらにグルグル巻きになって、ウソやら誤魔化しやらといったトンでもない悪知恵に、どうしても、まみれがちになってしまう。

 実に情けない話だが、その思い、その危惧、権力者たちの心ない言動の数々を目に、耳に、するにつけ、一気に、確信に至りそうだ。(つづく)