はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と二十五
「ダマス ジダイ」①
そんな厄介な時代だけれど、もう一つ、時代は、今、「騙(ダマ)す時代」にも突入しつつある、という感じだな、とAくん。
騙す?、時代?
「政治関係者も、一般ピーポーも、ダレもカレも、心の中に、ほんの少しの闇があるだけで、『騙す』ことにナンの躊躇(タメラ)いもなくなってしまう、可能性がある」
ほんの少しの、闇?
「ほんの少しの闇ぐらいなら、ダレの心の中にだってあったりするでしょ」
なぜかキツい調子になってしまう。
それでもAくん、優しく諭すように、「そう、その通り。だから、だからこそ、ほんの少しの油断で、気の緩みで、迷いで、いとも簡単にスルリと、「騙す時代」に足を踏み入れてしまう、ということを、僕たちは、肝に命じておく必要がある」、と。
騙す。
騙す。
騙す、か~。
「ということは、つまり、ほんの少しの闇であったとしても、内なる悪魔を目覚めさせてしまうだけのトンでもなくダークな力が、この社会の中で渦巻き始めている、ということですよね」
「そういうことになるかな。その、そのトンでもなくダークな力が、心の中の小さな闇の奥の奥で眠っていた悪魔を目覚めさせてしまう。そんな、その、ダークな力とは、いったい、ナンなのか。ソコが問題であり、大いなるナゾなわけよ」
悪魔を目覚めさせ、ナンの躊躇いもなく人を騙せるような心に染めてしまう、というそのダークな力とは、・・・、たしかに、ナゾだ。
ダークな力。
ダークな力。
ダークな力、か~。
ココはシッカリと時間をかけて考えてみよう、と、ナンの酒だったかよくわからなくなった生温(ヌル)い酒をグビリと呑み干したあと、私は、しばらく自分の世界に入る。
・・・
(つづく)